本年5月に育児・介護休業法及び次世代育成支援対策推進法が改正され、令和7年4月1日から段階的に施行されます。
改正の主な内容は
①子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充
②育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化
③介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等
です。
「育児」に関する法改正は、2年前の令和4年に「産後パパ育休」「育休分割取得」などかなり大規模に行われ、今回も
・3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者に関する柔軟な働き方を実現するための措置
・子の看護休暇の見直し
・育児休業取得状況の公表義務が300人超の企業に拡大
など盛りだくさんですが、「介護」に関する法改正については一見するとボリュームが少なくあまり注目されていないように感じます。

しかしながら、介護の問題は超高齢化社会の急速な進展により、とても深刻になっています。
経済産業省によると「超高齢社会の日本において、生産年齢人口の減少が続く中、仕事をしながら介護に従事する、いわゆるビジネスケアラーの数は増加傾向であり、2030年時点では約318万人に上り、経済損失額は約9兆円と試算されています。」とのことです。
にもかかわらず、介護休業制度の利用者は0.06%(常用労働者に占める介護休業者割合 令和4年度雇用均等基本調査)と極めて少なく、家族の介護が必要な状況に陥っても、仕事と介護の両立を支援する制度を利用せずに介護離職をしている労働者も多くいるのではないかと想像されます。
企業としては今回の法改正も踏まえて「介護離職対策」を念頭に入れた人事施策を実施することが大切です。
4月施行の
・介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
・介護に直面する前の早い段階(40歳等)での両立支援制度等に関する情報提供
・仕事と介護の両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備
などについては後日改めてコラムで触れますが、今回のコラムでは「介護休業」についてその基本を確認していきたいと思います。

1.介護休業の趣旨
介護休業は、労働者が要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)にある対象家族を介護するための休業です。
取得できる日数は通算して93日、3回に分割することができます。
介護、特に高齢者の介護は長く、出口が見えないもので、93日は短いのでは?と思う方もいるかもしれません。
介護休業は、介護をするための休業ですが、むしろ「仕事と介護を両立するための準備をし、介護で離職しないようにする」制度と考えてください。
そのため、たとえば高齢な親が急に怪我して身の回りの世話をしなければならなくなったようなときは、病院の手配や家族間の打合せをし、地域包括支援センターを取ったり、ケアマネさんと打ち合わせをしたりするような時間が必要になります。
介護休業を利用して仕事を続けるための体制をしっかりと作ることです。

2.介護休業の勘違い
「要介護状態」と聞くと介護保険の「要支援・要介護」の認定が必要と勘違いされている方が多くいます。
要介護状態の「介護」とは、歩行、排せつ、食事等の日常生活に必要な便宜を供与することであり、一般的な「加齢」をイメージしますが、怪我や病気によるものや、怪我や病気により障害が残ったもの、先天的に障害がある場合も含まれます。
対象家族の範囲は以下の表のとおり広いです。

特に、同居の家族でないとダメと思われてる方がいます。
平成28年12月31日までは、祖父母、兄弟姉妹及び孫について、同居し扶養していることが要件でしたが、現在はこの要件は撤廃されています。
育児介護休業規程を改定していない企業もごく稀にありますので、念のため確認してください。

以上ざっとですが介護休業について、ご説明しました。
4月からの法改正で40歳以上の社員には両立支援制度等に関する情報提供が必要になります。
人事担当者はこの機会に介護保険制度や自社の介護休業制度等を確認しておくとよいでしょう。