少し前の話ですが、令和6年度の予算が3月28日に政府案どおり国会で可決されたことはご存知かと思います。
厚生労働省の予算案について改めて確認しましたところ、「重点事項」は
Ⅰ.今後の⼈⼝動態・経済社会の変化を⾒据えた保健・医療・介護の構築
Ⅱ.構造的⼈⼿不⾜に対応した労働市場改⾰の推進と多様な⼈材の活躍促進
Ⅲ.包摂社会の実現
このうちⅡの「構造的⼈⼿不⾜に対応した労働市場改⾰の推進と多様な⼈材の活躍促進」が人事労務担当者に大きくかかわる事項で、項目としては
・最低賃⾦・賃⾦の引上げに向けた支援、非正規雇用労働者の処遇改善等
・リ・スキリング、労働移動の円滑化等の推進
・多様な⼈材の活躍と魅⼒ある職場づくり
が掲げられています。

このコラムでしばしば取り上げている「ハラスメント対策」は、「多様な⼈材の活躍と魅⼒ある職場づくり」の施策に含まれており、雇用環境・均等局雇用機会均等課の予算案概要では以下の表のとおり「総合的ハラスメント防止対策事業」として6.7億円を計上しています。

ここで目についたのが黄色でマークした「業種別カスタマーハラスメントの取組支援 」です。
昨年度予算にはないハラスメント対策の拡充です。

カスタマーハラスメントの各企業の取組はこれから本格化しますが、一企業だけが独自で進めることは難しいものがあります。
やはり、同業他社がどのように動いているか気になります。
最近JR西日本グループが「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を公表しました。
カスタマーハラスメントの具体例を明示した上で、そのような言動が認められた場合は、従業員を守るべく毅然とした対応を行い、必要により商品・サービスの提供や顧客対応を中止することを宣言しています。
これもベースは、2021年3月に作成された「鉄道業界におけるカスタマーハラスメントの実態および対策事例(一般社団法人日本民営鉄道協会 )」など業界としての考え方があると思います。

カスタマーハラスメントは業界として取り組むことが大切ですが、業界によってまだ濃淡があるのが実情です。
そういう意味でも「業種別カスタマーハラスメントの取組支援 」は注目していきたいです。
ちなみに1月30日の「第67回労働政策審議会雇用環境・均等分科会 」の議事録では、このハラスメント対策の拡充について、雇用機会均等課長が
「今年はカスタマーハラスメントに焦点を当てた形でシンポジウムなどを開催させていただいております。そこからの連続性という形で、今度は当然ながらカスタマーハラスメントは業種によっていろいろ異なると。その業種面の課題については、私どもは労働者保護という観点からの官庁でございますので、どうしても総花的に見がちなのですけれども、業種ごとの違いがあろうかと思っておりまして、そういった観点で、来年度こういった委託事業をしてはどうかという形で、予算案の中に盛り込ませていただいた」
「(業界との連携については)当然ながらイメージといたしましては、策定は私どもで直接というよりかは委託でやることを考えておりまして、委託会社でマニュアルの作成委員会みたいなものを設けまして、そちらに当然ながら業界団体の方、実際の企業の方などに入っていただく形で、しっかり業界とも連携してまいりたいと考えておるところでございます。 」
と発言しています(議事録公開日:2024年6月7日)

今年は初年度ですからすべての様々な業種・業界の支援は難しいと思いますが、継続的に来年度以降も支援が続くと良いと思いますし、各業界は進んで取組みを公開して欲しいと思います。