2024年4月の法改正対応、これまでの3回は「労働条件の明示ルール変更」について書いてまいりましたが、今回からは裁量労働制の改正に関して、その内容と企業としての対応をご説明してまいります。

1.裁量労働制とは
裁量労働制とは、労働基準法所定の業務を遂行する労働者について、実際の労働時間にかかわらず、労使協定等または労働者委員会決議で定める時間数の労働をしたものとみなすことができる制度です。

裁量労働制には「専門業務型裁量労働制(専門業務型)」と「企画業務型裁量労働制(企画業務型)」があります。
ただ、厚生労働省「令和4年就労条件総合調査」によると裁量労働制を導入している企業の割合は「専門業務型」が2.2%、「企画業務型」が0.6%となっており、制度導入はそれほど進んでいません。
とはいえ、この数か月専門業務型を導入している企業から来年の法改正について詳しい情報・アドバイスが欲しいというご依頼がありました。
少なくとも改正が施行される前の3月までにはしっかりと対応を終えておく必要がありますので、まずは専門業務型から見てまいりましょう。

2.専門業務型裁量労働制について
専門業務型裁量労働制は、業務の性質上、その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量に委ねる必要があるため、業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして定められた20の業務(以下参照)の中から、対象となる業務等を労使協定で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使協定であらかじめ定めた時
間労働したものとみなす制度です。
【20業務】(主なもの)
①新商品もしくは新技術の研究開発または人文科学もしくは自然科学に関する研究の業務
②情報処理システムの分析又は設計の業務
③新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送番組の制作のための取材若しくは編集の業務
④デザイナー
⑤プロデューサーまたはディレクター
⑥コピーライター
など
今回の改正によって、従来の19業務に新たに「M&Aアドバイザーの業務」が加わります。

3.法改正内容
今回の改正は「労使協定」に関する以下のものが記載事項に加わります。
①制度の適用に当たって労働者本人の同意を得なければならないこと
②制度の適用に労働者が同意をしなかった場合に不利益な取り扱いをしてはならないこと
③制度の適用に関する同意の撤回の手続き
④同意・撤回に関する労働者ごとの記録の保存
基本的に労働者保護をねらいにしています。

なお、健康・福祉確保措置としては、留意事項として以下の措置が加わりましたので、合わせて確認ください。
・勤務間インターバルの確保
・深夜労働の回数制限
・労働時間の上限措置(一定の労働時間を超えた場合の制度の適用解除)
・一定の労働時間を超える対象労働者への医師の面接指導

4.実務対応
3.を踏まえての導入企業としての対応は、労使協定の見直しはもちろんですが、対象労働者への事前説明を行ったうえで同意を得ることが大切です。
労働者の同意に関しては、労働者が制度を正しく理解し、労働者の自由な意思に基づいて判断していることがポイントです。
「同意書」の作成や同意の撤回手続きも十分に検討してから定める必要があります。
なお、同意しない労働者が出てくることも想定されます。
「不利益な取扱いをしてはならない」のですから、解雇はできないですし不当な配置転換なども認められません。
この点については、原則として同意しない場合どのような配置また処遇にするかを決めておくことが望ましいです。

詳しくは以下の厚生労働省のホームページ「裁量労働制の概要」をご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/sairyo.html