こんにちは。今回は4月12日に内閣官房がホームページに公開した「三位一体労働市場改革の論点案」を見ていきたいと思います。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai16/shiryou1.pdf

「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとした「新しい資本主義」を実現していくため内閣に設置した「新しい資本主義実現本部」。
「新しい資本主義」の実現に向けたビジョンを示し、その具体化を進めるため、これまで16回の「新しい資本主義実現会議」が開催されてきました。
その16回目に会議で打ち出された「三位一体労働市場改革の論点案」はまさに今後の労働政策とその動向を見ていくうえでたいへん参考になります。

前文には
働き方は大きく変化している。『キャリアは会社から与えられるもの』から『一人一人が自らのキャリアを選択する』時代となってきた。
職務ごとに要求されるスキルを明らかにすることで、労働者が自分の意思でリ・スキリングを行い、職務を選択できる制度に移行していくことが重要である。
そうすることにより、社外からの経験者採用にも門戸を開き、内部労働市場と外部労働市場をシームレスにつなげ、労働者が自らの選択によって労働移動できるようにしていくことが、日本企業と日本経済の更なる成長のためにも急務である。
と書かれています。

狙いは「労働移動による我が国の経済成長」です。これまでの常識を逆転させる内容と言えましょう。

そして、論点の骨子は以下のとおり。

この4つの論点のうち、1つ目の「リ・スキリングによる能力向上支援」を見ていきましょう。
「リ・スキリングによる能力向上支援」は、まず最初に「個人への直接支援の拡充」を掲げています。
・企業経由が中心となっている在職者への学び直し支援策について、現在、企業経由が75%、個人経由が25%となっている。これについて、5年以内を目途に、職務給の普及に応じ、過半が個人経由の給付が可能なようにしてはどうか。
・リ・スキリングが、労働者の中長期的なキャリア形成に有効との先進諸国での経験を踏まえ、業種・企業を問わずスキルの証明が可能なOff-JTでの学び直しに、より重点を置く(民間教育会社が実施するトレーニング・コースや大学が実施する学位授与プログラムなど)こととしてはどうか。
・個人経由中心となる支援策について、在職者を含め労働者が自身の有するノウハウやスキルに応じて、リ・スキリングプログラムを受ける内容、進め方を、コンサルティングを受けながら適切に選択できるように、官民連携によるキャリアコンサルティングの体制整備を行ってはどうか。
また、「雇用調整助成金」について、
・現在の雇用調整助成金は、教育訓練、出向、休暇のいずれかの形態で雇用調整を行うことによる費用を補助する制度である
・在職者によるリ・スキリングを強化するため、休暇による雇用調整よりも教育訓練による雇用調整を選ぶことが有利となるよう、支給率及び追加支給額を含め、検討してはどうか。
としています。

自律的なキャリアと長く言われてきましたが、企業に頼ることなく、自ら学び直し・自己啓発することが今後は不可欠です。自らの強みを活かし、新しいテクノロジーを受入れていくことが大切でしょう。
キャリアコンサルタントとしてはこの波に乗り遅れてはいけません。
そして社労士としても教育訓練の新しい制度をキャッチアップして顧問先に情報提供していく必要があるでしょう。

少し長くなりましたので、「個々の企業の実態に応じた職務給の導入」以降の3つの骨子は次回のコラムでご説明したいと思います。