厚生労働省が3月30日に「令和5年度地方労働行政運営指針」を策定して、以下のホームページに公開しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32486.html
地方労働行政運営方針は、その年度の労働行政の重点課題を示したものです。
各都道府県労働局は、この運営方針を踏まえつつ、各局の管内事情に即 した重点課題や対応方針などを盛り込んだ行政運営方針を策定し、計画的な行政運営を図ることとしています。
令和3年度までは報道発表され、「概要・重点施策」を公表していましたが、昨年度からは「大臣官房地方課」の政策として公開するように変わりました。
そこで、今年度の概要と主な取組について整理しましたので見ていきたいと思います。
今年度の運営方針は
「少子高齢化・生産年齢人口の減少という我が国の構造的な課題がある中で、国民一人ひとりが豊かで生き生きと暮らせる社会を作るためには、成長と分配の好循環による持続可能な経済社会の実現が不可欠であり、そのためには、人への投資を強化する必要がある。」と冒頭に述べられているように
「少子高齢化」「生産年齢人口の減少」「人への投資の強化」がキーワードです。
それもあって、5年前の重点施策「働き方改革」から「キャリア」「多様性」にシフトしている点が特徴です。
今年度の施策をまとめると以下のとおりです。

「個人の主体的なキャリア形成の促進」と「安心して挑戦できる労働市場の創造」は、キャリアコンサルタントの方はぜひ厚生労働省ホームページをよく読んでいただきたいと思います。そこには行政の様々な促進・支援施策があります。
一方「最低賃金・賃金の引上げに向けた支援の推進等」と「多様な人材の活躍促進」などにも具体的な行政としての取組があるので、主な項目を見ていきましょう。
①最低賃金制度の適切な運営と同一労働同一賃金の徹底
最低賃金については、できる限り早期に全国加重平均が 1,000 円以上となることを目指す基本方針のもと、中小企業・小規模事業者が賃上げしやすい環境整備に一層取り組むための行政の支援を示していると同時に、以下の取組を明示しています。
「最低賃金額の改定等については、使用者団体、労働者団体及び地方公共団体等の協力を得て、使用者・労働者等に周知徹 底を図るとともに、最低賃金の履行確保上問題があると考えられる業種等を重点とした監督指導等を行う。」
「監督署による定期監督等において、同一労働同一賃金に関する確認を行い、短時間労働者、有期雇用労働者又は派遣労働者の待遇等の状況について企業から情報提供を受けることにより、雇均部(室)又は安定部等による効率的な報告徴収又は指導監督を行い、是正指導の実効性を高めるとともに、支援策の周知を行うことにより、企業の自主的な取組を促すことで、同一労働同一賃金の遵守徹底を図る。」
としています。
②女性活躍推進の促進
国際比較において、管理職に占める女性割合が依然として低く、男女の賃金差異も大きい状況下、女性活躍推進法および男女雇用機会均等法に関し
「常時雇用する労働者数301人以上の事業主に新たに義務付けられた男女の賃金の差異に係る情報公表について、報告徴収等の実施により、着実に履行確保を図る。」
「妊娠等を理由とする解雇・雇止め等不利益取扱いの禁止について、特に非正規雇用労働者や外国人労働者についても 正社員と同様にあってはならないことから、事業主に対し関係法令の周知を図るとともに、相談が寄せられた場合は速やかに必要な指導等を行う。」
としています。
③男性育児休業所得の促進
令和5年4月1日から、1000人超企業を対象とした育児休業等取得状況の公表が義務付けられました。
令和7年度までに男性の育児休業取得率を 30%とする政府目標の達成に向けての更なる取組として
「産後パパ育休」(出生時育児休業)を含め、育児・介護休業法に基づく両立支援制度について労働者が円滑に利用できるよう周知徹底を図る。」
「労働者の権利侵害が疑われる事案や育児休業の取得等を理由とする不利益取扱いが疑われる事案を把握した場合には、事業主に対する積極的な報告徴収・是正指導等を行う。」
としています。
④同一労働同一賃金など雇用形態に関わらない公正な待遇の確保等
「パートタイム・有期雇用労働法及び労働者派遣法に基づく報告徴収、指導監督等を実施することにより、法の着実な履行確保を図る。
その際、監督署と連携し、雇均部(室)は、監督署から提供された情報に基づき、報告徴収を実施し、正社員と短時間労働者又は有期雇用労働者との間の不合理な待遇差等を確認した場合には、是正指導等を行うほか、望ましい雇用管理の改善等の助言を行う。
安定部等は、監督署から提供された情報に基づき、指導監督を実施し、 正社員等と派遣労働者との間の不合理な待遇差等を確認した場合には、是正指導を行う。」
としています。
⑤長時間労働の抑制
「長時間労働の抑制及び過重労働による健康障害を防止するため、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり 80 時間を超えていると考えられる事業場及び長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場に対する監督指導を引き続き実施する。」
としています。
以上「監督・指導」に着目して見て参りましたが、これら以外にも盛沢山の取組みが記載されていますのでお時間あるときに一度目をお通しておくと良いと思います。

