精神障害の労災認定基準に関する厚生労働省の専門家検討会が今月20日開かれ、顧客等からの著しい迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」の被害を判断基準に加えるよう提言しました。
厚労省は提言を踏まえ、早ければ年内にも通達を出して運用を改める方針です。
カスハラは、令和2年度の厚生労働省職場のハラスメント実態調査(労働者調査)で、過去3年間に勤務先でカスハラを経験した労働者の割合が15.0%と、パワハラ(31.3%)よりは少ないもののセクハラ(10.2%)を上回る結果が出ており、同調査の企業調査では相談件数、該当件数とも増加傾向にありました。
セクハラ、パワハラなどのように事業主に措置義務は課されてはいませんが、パワハラ指針の中で、事業主は相談に応じ、適切に対処するための体制整備や被害者への配慮の取組を行うことが望ましい旨が定められています。
今回は、今後も増加することが予想されるカスハラについて見ていきたいと思います。
◆カスハラの定義
カスハラは、企業や業界によって、顧客等への対応方法・基準が異なりますので、明確に定義することは困難です。
2022年2月に作成された厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」では以下のとおり記載しています。
「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、
当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様
により、労働者の就業環境が害されるもの」
つまり
①要求内容が著しく妥当性を欠く場合
②要求実現のための手段・態様の悪質性が高い場合
③労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じること
の3つの要素を満たすものです。
よって、クレームがすべてカスハラというわけではないことに留意する必要があります。
◆「要求実現のための手段・態様の悪質性が高い場合」の例
・顧客が正当な理由なく長時間従業員を拘束する
・顧客が正当な理由なく何度も電話や来店をしてくる
・大声であったり、言葉遣いが荒い話し方
・暴力をふるう行為や物を乱暴に扱う行為
・「殺す」「しばく」「殴る」「店に火をつけるぞ」「SNSに動画をまきちらすぞ」などの威嚇・脅迫
・「土下座しろ」など一方的に何らかの行為の強要
・自宅や特定の喫茶店、顧客の会社などに呼びつけて長時間拘束する
・性的な言動、差別的な言動
・SNS/インターネット上での誹謗中傷
など
◆カスハラの判断基準
業種や業態、企業文化などの違いから、カスハラの判断基準は企業ごとに違いが出てくる可能性があることから、各社であらかじめカスハラの判断基準を明確にした上で、企業内の考え方、対応方針を統一して現場と共有しておくことが重要と考えられます。
企業、業界において様々な判断基準がありますが、一つの尺度としては、
①顧客等の要求内容に妥当性はあるか
②要求を実現するための手段・態様が社会通念に照らして相当な範囲であるか
という観点で判断することが考えられます。

ご参考までに以下のような基準で判断するという企業もあります。
・説明責任を十分果たした上で、それでも納得いただけないかで判断している。
・商品に瑕疵がないか、サービス提供側で非がある対応をしていないかで判断している。
◆最後に
顧客の多くは善良な「お客様」であり、その声を商品・サービスの改善、開発さらには経営に活かすことが求められています。安易なカスハラの決めつけはしないことが大切です。
そのためにも各社でカスハラの判断基準を明らかにし、現場で活かせるマニュアルを整備していきましょう。
一人一人が自信をもって顧客対応できるよう会社として支援すること従業員を1人にしないことで「働きやすい職場」を作っていきましょう。

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