昨年6月にこのコラムで「カスタマーハラスメント」について書いた頃から、従来のセクハラ、パワハラに加えてカスハラの研修の引き合いをいただくことが増えました。
また先月、東京都がカスハラ防止条例を策定するという報道もなされ、今年はカスハラ対策に取り組む企業が確実に増えていくでしょう。
ただ、カスハラの被害者はコールセンターやサービス業、小売業など一般消費者を相手にする企業の社員をイメージすることが多く、事実そのようなBtoCのビジネスモデルで対策は進んでいます。
先月27日にJR東日本グループで「カスタマーハラスメントに対する方針」が策定されホームページ(以下のリンク先ご参照)に公開されました。

https://www.jreast.co.jp/company/customer-harassment/
内容としては、主に乗客など利用者個人を想定したものです。

その一方で、BtoB型のカスハラもあることを忘れてはなりません。
先日もある企業でパワハラ研修をした際に、受講者から「自分は、立場が上の取引先担当者から繰り返し暴言を浴びせられた。これはハラスメントではないか?」との質問がありました。
詳しい経緯などは時間の関係で確認できなかったのですが、「BtoB型のカスハラ」に該当する可能性があるとお答えしました。
「BtoB型のカスハラ」については、判例でも令和4年8月20日 長野地裁飯田支部の「損害賠償請求事件」で医療機器会社の従業員が取引先の病院担当者から暴行・脅迫等を受けていたとして、病院担当者の不法行為責任と病院の使用者責任を認めた事案が出ています。
当該医療機器会社にとって病院は最大手の顧客で、取引関係を壊さないように最大限の配慮せざるを得ない弱い立場にあったとしています。

ここから学ぶことはカスハラは被害にあったときの対策が必要であるとともに、自社の社員が加害者にならないように社外の相手方に対する言動にも注意するよう研修などで周知啓発することも重要であることです。
今後カスハラの紛争は増えていくことは間違いありませんので、BtoC型(被害者を守る) BtoB型(加害者にならない)の両方のカスハラ対策を自社のビジネスモデルに合わせて進めていってください。